- Ending C -


(ダニカの残骸の前で向かい合うダニカとマグナス)
半神ダニカ
「…ありがとう。若き人の子よ。
 私を止めてくれた事、感謝します。
マグナス
「待ってくれ。
 一つだけ教えてくれ…
「やはりあなたは…
 あなたは魔界の女王なのか?
 
半神ダニカ
「私の心には聖と邪が、
 …その両方が存在しています。
「そして、神でもあり人間でもある私は
 常に揺れ動く存在なのです。
 
「…その心が憎しみに染まれば
 魔界の女王となり、心穏やかなれば
 豊穣の神となる。
「私がどちらに変化するのか…
 それは全てこの世界を包む意識が
 決定するのです。
半神ダニカ
「気付きませんか…?
 私はあなた達と同じなのですよ。
マグナス
「……暗黒道…
半神ダニカ
「あなた達人間と、魔界の住人達…
 その祖は同じなのです。
「豊かな大地で生きる人間と、
 荒廃した大地で憎しみに支配され
 生きるオウガ…。
「違いはただ、それだけなのです。
 そしてあなた達は、
 私以上に不安定な存在……
「人間であり、オウガでもある。
 だから、魔界の者が現れなくとも
 オウガバトルは起き得る…
「あなた達、人間同士が争い…
 ……憎しみ合う事で…
 
半神ダニカ
「若き人の子よ…、ユミルが私の器と
 なったのは偶然ではありません。
(残骸が消え、カオスゲートになっている。)
「全ては何者かが…、強大な力を持つ
 何者かが仕組んだことなのです。
 
「……気をつけなさい…
 その者が…、混乱を生む者が…
 この大地に産まれ落ちました。
「…オウガバトルは避けられません。
 
  半神ダニカ
「気をつけなさい…
 ……若き人の子よ…
(ダニカはゆっくりと浮き上がると、姿を消した。)

さようなら…、マグナス

ユミル…
 俺達の戦いは終わったよ

(思い出の庭に立つマグナス。デスティンが歩いてくる)
勇者デスティン
「マグナス、
 やはりここにいたか…。
勇者デスティン
「ユミル王子の事を
 気にしているのだな?
「忘れろとは言わない。
 …忘れられるものでもない。

「しかし、彼はもういない。
 そして今、君はここにいる。
 …分かるな?
「君達が手にした平和が、
 彼が愛した世界がここにある。
 …君を慕う仲間達がいる。
勇者デスティン
「…君達には世話になったな。

「我々は王に全てを伝える為、
 一度ゼノビアに戻る事にしたよ。
 
「残念ながらローディスとの戦いは
 避けられないだろう…。
 
「王がどのような決断をするかは
 分からないが、
 我々は必ず戻って来る。
勇者デスティン
「…君はどうする?
 
「君が望むのなら、
 我々は君を拒みはしない。
 …共に来るか?
(振りかえるマグナス)
マグナス
「俺は…、この国に残ります。
 
「この国は今、傷だらけです。
 多くのものを失い、
 荒れ果て…
「…これからは国の再建の為に
 力を尽くすつもりです。
 
「何が出来るか分かりません。
 でも、自分に出来る限りの事は
 しようと思ってます。
「人が人として生きて行ける国…
 何者にも揺るがされず、
 皆が平和に暮らせる国の為に。
勇者デスティン
「…サラディンがよく言っていたよ。
 
「『人には自らの才能と
  能力を活かす責任がある…』
 
「…自分を信じろマグナス。
 今の君達になら、
 出来ぬ事など何も無いだろう。
「期待しているぞ。
 これからのパラティヌス王国に。
 
「……君達の国に…。
 
 
(デスティンが歩き去る)
マグナス
「デスティンさん…
 運命って何なのですか?
「自分達の力では、どうにも
 ならないものなのですか?
 
「ユミルは…
 知らない誰かが決めた運命に
 従うしかなかったのですか?
勇者デスティン
「間違うな、マグナス!
 彼は運命に屈したわけではない。
「…運命を受け入れた上で、
 彼は“ユミル”として精一杯生きた。
 
「生を受けた瞬間に、
 決まってしまう運命も有るだろう…
 しかし結果が重要なのではない!
「大事なのは“どう生きたか”だ!
 君は知っている筈だぞ…
 運命に立ち向かい続けた彼の強さを。
(デスティンが歩き去り、マグナスが残される)

革命戦争から半年…

革命の指導者 フレデリック・ラスキンは
自らが王となり
パラティヌス王国を存続させた

支配者としてではなく
民の代表としての立場を取り続ける
フレデリック王

決して玉座に座らぬその振る舞い
そして民意を尊重する政策から
後に『共和王』として称えられる事となる

…それから数年後

大陸全土を巻き込んだ戦いにおいて、
フレデリックは悲運の死を遂げる

指導者を失ったパラティヌスは
王の右腕と呼ばれた
一人の男により導かれて行く

グンター山麓

…行くぞ、トロアッ!!

(向かい合うカトレーダとトロア、そこにアスナベルが歩いてくる)
猛将アスナベル
「行くぞ、トロアッ!!
 …もたもたするな!
(アスナベルが去る)
カトレーダ
「あわてないでよ父さん。
 ホントにもう…。
トロア
「…ごめんよカトレーダ。
 オイラ、もう行くよ。
カトレーダ
「気を付けてね…トロア。
 
(トロアが歩き去る)

王都ウィニア

すまないな、また戦いに呼び戻してしまって。

(会議室に座るヒューゴー、メレディア、リーデル)
軍師ヒューゴー
「すまないな、
 また戦いに呼び戻してしまって。
鳴弦士リーデル
「気にしないでよ。
 自分達の事でもあるんだから…。
「…それに、私が力になれるのなら
 黙って見てなんかいられないわ!
 そうよね、メレディア。
メレディア
「そうよヒューゴー(はぁと)
 気を使わなくてもいいわ。
「もうそろそろ若いのに任せて、
 引退してもいいんじゃない?
 ネッ、リーデル。
軍師ヒューゴー
「…お前達、仲が良かったのか?
 全然気付かなかったぞ。
メレディア
「そうかしら?
 確かに気が合うかも(はぁと)
鳴弦士リーデル
「そう?
 気にした事なかったわ。

ローディス辺境

…彼が来るわ。

(城門前にニルダム兵3人とデスティン)
勇者デスティン
「…我々はこのまま北上する。
 ヴァド、南は君達にまかせる。
雷火のヴァド
「あぁ、分かっている。
 
(デスティンの後ろからエウロペアが来、デスティンが振りかえる)
星辰の騎士エウロペア
「デスティン、彼が来るわ。
 …あの仲間達と共に。

王都ウィニア

(玉座前に騎士達が集まっている)
マグナス
「フレデリック王の死は
 悲しむべき事だ。
「…しかしその胸に憎しみを
 抱いてはいけない!
 忘れるなッ!
「真の敵は自分だ。
 自分の心を弱さ、冥い感情だ。
 
「自分を愛してくれた父を、
 母を思い出せ。
 自分が愛する者を思い出せ。
「人としての心を、
 …優しさを忘れないでくれ。
 
マグナス
「皆、行くぞ!
 (剣を抜き、掲げる)この手に未来をッ!!

羅陵王
マグナス・ガラント

ゼテギネア・ガリシア両大陸の覇権を狙う
東方騎馬民族を全て退けし
その武勇と

先王の掲げた共和政策の実践を称えられ
武と知を兼ね備える偉大な王として
後世にその名を残す…

…そして王の意志は
アイネアス・ガラント皇子に
受け継がれる