† ユダ、裏切りを企てる

マタイ福音書26:14~16
(マタ14:10-11、ルカ22:3-6

 そのとき(ベタニアのシモンの家で一人の女がイエスに香油を注いだ事件ののち)、十二人の一人で、イスカリオテのユダという者が、祭司長たちのところへ行き、「あの男をあなたたちに引き渡せば、幾らくれますか」と言った。彼らは銀貨三十枚を支払うことにした。そのときから、ユダはイエスを引き渡そうと、良い機会を狙っていた。

 (それ以前に祭司長たちはイエスを捕らえて殺そうと考えていた)


† 過越しの食事をする

マタイ福音書26:21~25
(マタ14:12-21、ルカ22:7-17、21-23、ヨハ13:21-30

 一同が食事をしているとき、イエスは言われた。「はっきり言っておくが、あなたがたのうちの一人がわたしを裏切ろうとしている。」弟子たちは非常に心を痛めて、「主よ、まさかわたしのことでは」と代わる代わる言い始めた。イエスはお答えになった。「わたしと一緒に手で鉢に食べ物を浸した者が、わたしを裏切る。人の子は、聖書に書いてあるとおりに、去っていく。だが、人の子を裏切るその者は不幸だ。生まれなかった方が、その者のためによかった。」イエスを裏切ろうとしていたユダが口をはさんで、「先生、まさかわたしのことでは」と言うと、イエスは言われた。「それはあなたの言ったことだ。」


† 裏切られ、逮捕される

マタイ福音書26:21~25
(マコ14:43-50、ルカ22:47-53、ヨハ18:3-12

 イエスがまだ話しておられると、十二人の一人であるユダがやって来た。祭司長たちや民の長老たちの遣わした大勢の群集も、剣や棒を持って一緒に来た。イエスを裏切ろうとしていたユダは、「わたしが接吻するのが、その人だ。それを捕まえろ」と、前もって合図を決めていた。ユダはすぐイエスに近寄り、「先生、こんばんは」と言って接吻した。イエスは、「友よ、しようとしていることをするがよい」と言われた。すると人々は進み寄り、イエスに手をかけて捕らえた。そんとき、イエスと一緒にいた者の一人が、手を伸ばして剣を抜き、大祭司の手下に打ちかかって、片方の耳を切り落とした。そこでイエスは言われた。「剣を鞘に納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる。わたしが父に十二軍団以上の天使を今すぐ送ってくださるであろう。しかしそれでは、必ずこうなると書かれている聖書の言葉がどうして実現されよう。」またそのとき、群集に言われた。「まるで強盗にでも向かうように、剣や棒を持って捕らえに来たのか。わたしは毎日、神殿の境内に座って教えていたのに、あなたたちはわたしを捕らえなかった。このすべてのことが起こったのは、預言者たちの書いたことが実現するためである。」このとき、弟子たちは皆、イエスを見捨てて逃げてしまった。


† ユダ自殺する

マタイ福音書27:3~10

 そのころ、イエスを裏切ったユダは、イエスに有罪の判決が下ったのを知って後悔し、銀貨三十枚を祭司長たちや長老たちに返そうとして、「わたしは罪のない人の血を売り渡し、罪を犯しました。」と言った。しかし彼らは「我々の知ったことではない。お前の問題だ」と言った。そこで、ユダは銀貨を神殿に投げ込んで立ち去り、首をつって死んだ。祭司長たちは銀貨を拾い上げて、「これは血の代金だから、神殿の収入にするわけにはいかない」と言い、相談のうえ、その金で「陶器職人の畑」を買い、外国人の墓地にすることにした。このため、この畑は今日まで「血の畑」と言われている。こうして、預言者エレミヤを通して言われたことが実現した。「彼らは銀貨三十枚を取った。それは、値踏みされた者、すなわち、イスラエルの子らが値踏みした者の価である。主がわたしにお命じになったように、彼らはこの金で陶器職人の畑を買い取った。」

(該当部分不明。エレミヤ32:8b-9(エレミアが従兄弟ハナムエルから銀十七シュケルで土地を買い取る話)及びゼカリヤ11:4-13(ゼカリアが銀三十シュケルを受け取り、それを鋳物師に投げ与えた話)か)


† マティアの選出

使徒言行録1:16~20

 「兄弟たち、イエスを捕らえたあのユダについては、聖霊がダビデの口を通して預言(以下の詩篇のことか)しています。この聖書の言葉は、実現しなければならなかったのです。ユダはわたしたちの仲間の一人であり、同じ任務を割り当てられていました。ところで、このユダは不正を働いて得た報酬で土地を買ったのですが、その地面にまっさかさまに落ちて、体が真ん中から裂け、はらわたがみな出てしまいました。このことはエルサレムに住むすべての人に知れ渡り、その土地は彼らの言葉で、『アケルダマ』、つまり、『血の土地』と呼ばれるようになりました。詩篇にはこう書いてあります。
『その住まいは荒れ果てよ。そこに住む者はいなくなれ。』(詩編69:26)
また、
『その務めは、他のひとが引き受けるがよい。』

(この後、バルサバあるいはユストとも呼ばれるヨセフとマティアの二人についてどちらを選ぶべきか祈った後にくじを引き、選ばれたマティアが十二使徒の一人に加わる)




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