オウガバトル

偽史編纂室「現実世界との繋がり 歴史」


- 前提 -
  1. ゼテギネア神話は、バルカン半島東岸、エーゲ海、黒海、カスピ海に囲まれた周辺地域で信仰され、前3000年頃、小アジアを中心とする地域をヒッタイト人によって統一されるまでは神話に登場する神々が信仰されていた。
  2. 19世紀後半、ゼンダ(架空の地名?)の遺跡から発掘された古バビロニア期(前1900~1700)に記されたシュメール語の粘土書版「古ゼンダ」、及び、その後、1895年、フランスの調査隊によって黒海沿岸の遺跡ダウラ(架空の地名?)から発見された同様の楔形文字書版である叙事詩「オウガバトルサーガ」が、それらの資料とされる。
  3. 「オウガバトルサーガ」には、前3200年頃のゼノビア王朝による(?)大陸統一までが全8章で描かれている。
  4. ヴァレリア島に建国されたヴァレリア王国は、ヒッタイト人に統一されるまで千年近くの間、独立王国として命脈を保っていた。

- 仮説 -
  1. 前1200年
    B.C.4000~3000という記述が誤りであり、4000年前~3000年前(B.C.2000~1000)であった場合
    ヒッタイト人が小アジアに侵入するのが前2000年頃、最盛期を迎えるのが前1350年頃であることを考えると、前1200年頃にゼノビア王国による統一が行われるのは不可能であり、ヴァレリア王国が千年に渡る統治を行うことも出来ず、この可能性は薄い。

  2. 前2500年
    前提と矛盾するが、チラシや地図による年代情報の一部を無視して、より辻褄が合うように考えた場合
    1. ヒッタイト人に小アジア周辺地域を統一されるまでゼテギネア神話が信仰されていた。
    2. ヴァレリア王国はヒッタイト人に統一されるまで千年近くの間、独立王国として命脈を保っていた。
    3. 「古ゼンダ」「オウガバトルサーガ」のシュメール語粘土書版は、古バビロニア期の遺産である。

    以上を前提として考えると、
    [ 前2500年頃ヴァレリア王国(7章)の再建~前1500年頃ヒッタイト人による小アジア周辺地域の統一とヴァレリア王国の滅亡 ]
    という関係になる。
    7章と6章が同時代であることから、前2500年頃に現れた東方騎馬民族こそが、後のヒッタイト人であったとも思われる。この頃から民族移動を開始していたものの、羅陵王マグナスの活躍によって、一時、引き返さざるを得なかったのではないだろうか。
    その後も徐々に進行して、前2000年頃、小アジアの中央部に至るが、この頃のヒッタイト人の勢力はカッパドキア高原に限られ、周辺地域には、先住民族が生活していた。
    青銅器主体のこの時代に、原始的とはいえ鉄の精錬法を知っていた先住ハッティ人等はゼテギネアの民に当たり、その後、前1500~1400年頃にかけて、ヒッタイト人が周辺諸島を含めた小アジア地域を完全に統一するまでは、周辺の都市やヴァレリア島でで命脈を長らえていたが、このヒッタイト人による統一によってゼテギネア神話圏が消滅する結果となる。
    また、カッパドキア高原の広範囲に残る焦土層の時代やガラス状に溶けた岩石が残された、謎の高熱による破壊が起ったのは、前2500年の数百年後、あるいはヒッタイト人による侵入前後ということになる。
    気候さえも変化させる「禁呪」を再び使えば、一瞬の内に数千度の熱を広範囲に生み出し、爆心地といわれる土地に多く残されているテクタイトのように土や煉瓦をガラス状に変容させることも可能だろう。特にヴァレリア島にあった火の禁呪は、上空で核融合を起こすという「スーパーノヴァ」である。強力な戦車軍を率いるヒッタイトに対し、大いなる戦争による戦力の低下、そしておそらくは神の影響の減退による魔法能力の低下によって劣勢となったゼテギネアの民は、使用の度に禁じられた「禁呪」を再び使用し、敵と共に多くの都市や土地を焦土と化し、滅びていったのではないだろうか。

  3. 前3200年
    もし、前提の前3000年頃に小アジアに現れるヒッタイト人とヴァレリアを滅ぼすヒッタイトが同じならば、「千年後にヴァレリアがヒッタイトに統一される」事と小アジアが統一される前3000年頃が同じということになり、7章は前4000年頃ということになる。
     しかし、ゼノビア王朝が前3200年頃に大陸を統一するまでに更に800年を要することになってしまう。『オウガバトルサーガ』5~7章の後、大陸全土を巻き込んだ「大いなる戦い」、東方騎馬民族の襲撃等の大事件と、大陸の統一という大事業の800年の物語が、わずか1章に纏められているとは考え難い。
    ならば、新生ゼノビア王国の成立、あるいは「大いなる戦い」の後に起り得るゼノビア王国による大陸統一が、前3200年頃と考えるのが自然だろう。 つまり、ゼノビア王国は、200年程の繁栄の後、前3000年頃に小アジア地域がヒッタイト人に統一されるが、その後もヴァレリア王国は命脈を保ち続け、ヒッタイト人に統一されるのは、それから更に800年後、前2200年頃ということになる。
    前2000年頃、『聖書』のアブラハムが妻サラを葬るためにヘテ人からエルサレム近くの洞窟と土地を譲りうける場面があり、そこからヒッタイト人(ヘテ人)がその頃のイスラエル周辺を領有していたとも考えられている。ヴァレリアを滅ぼしたとすれば、そのヘテ人ということになるだろうか。
    同時に、前2000年頃、カフカス山脈の西側を印欧語族のヒッタイト人が通過、後に小アジア全域に勢力伸ばし、バビロンを陥落させ、シリアでエジプトのラムセス二世を破る鉄の帝国ヒッタイトとなる。
    ・ 前3000年頃に小アジアを統一する(謎の)ヒッタイト人
    ・ 前2200年頃にヴァレリア島を統一するヒッタイト人(ヘテ人)
    ・ 前1680年頃に小アジアに建国し、後の大帝国を作る(歴史上の)ヒッタイト人
    以上、3つの時期にヒッタイト人が登場することになるが、最後の歴史上のヒッタイト人の存在については劇的な発見の無い限り動かし難く、ヴァレリアを統一するヒッタイト人については、『聖書』中のヘテ人と繋がるかは不明だが、他の印欧語族に先んじて小アジアに入り、そこにあった文明を焼き尽くしたと言われるルヴィ人と時期的に重なるため、彼らだとも考えられる。
    結局、チラシの中にある前3000年頃小アジアを統一したとされるヒッタイト人が何者であったのかが謎だが、全体の流れとしては比較的自然ではないだろうか。

  4. 前4000年(1)
    ゼテギネア神話が前3000年頃まで信仰され、ゼテギネア神話圏である海上王国ヴァレリアが千年近く後にヒッタイト人により滅亡、それによってゼテギネア神話圏が消滅したとすると、5-7章は前4000年頃に当たるだろうか。
    『古ゼンダ』『オウガバトルサーガ』が記された古バビロニア期の小アジア地域はというと、200年程前から定着し始めたヒッタイト人の勢力拡大の頃で、ヒッタイト人は、前1595年頃に古バビロニア=バビロン第一王朝の都バビロンを滅ぼす古王国時代の最盛期まで拡大を続けている。
    つまり、ヒッタイト人の脅威は粘土書版の作者である歴史学者にとって過去の歴史ではなく現実の脅威であり、殷の紂王に対する夏の桀王のように、優れた王国が滅びた、その理由付けのために現実が過去に投影されたものとも思える。
    現実のヒッタイト人とゼノビアを滅ぼしたと思われる民族との間千数百年のずれは、おそらく、かつての強大な国家ゼノビア王国の末裔の住む都市を滅ぼした、現実のハッティ人など小アジアの先住民族と呼ばれる民族とヒッタイト人が混同されて記されたものなのではないだろうか。

  5. 前4000年(2)
    アナトリア高原各地に広がる前2200~2000年頃の焼土層について、通説では非印欧語族である原住民の原ハッティ人を、印欧語族の中で先立って民族移動をしたルヴィ人が滅ぼし、その際の火災で焼土層が生まれた。その後、100年程して自然堆積層が焼土層を覆った頃にヒッタイト人が侵入して居住を開始したとされる。また、製鉄法については、それを知っていた原ハッティ人の技術者を首都近郊の町アリンナに集め、国家機密として生産管理していたとされている。
    しかし、前8000~2000年頃大洪水以後の世界を担った高度な文明が引き起こした核戦争によって、殆どの主要都市は消滅し、カッパドキア(落ちた地の意)の地下都市など地下に隠れて生き残った少数の者が、その後、アナトリア高原に侵入した未開のヒッタイト人に技術を授け、帝国を築き上げたとも考えられる。この場合、技術を持つ民族は、先のように管理される側ではなく、管理する側ということになる。
    つまり、『古ゼンダ』に記された歴史は、大洪水以降を担った文明の歴史であり、登場する「ヒッタイト人」とは、高度な技術を持つ民族である原ハッティ人ということにならないだろうか。
    更に考えると、当時の世界において高度な文明を持っていたと考えられるのは、『銃』の開発国である南の大陸バルバウダである。ドラゴンの鱗すら貫く長身銃と火薬を扱う高度な技術を既に持っていたバルバルダの文明であれば、数百年の間にインドの『マハーバーラタ』に登場するような航空兵器、ミサイル兵器、更には核兵器までも開発することは、現在の我々の文明を見れば不可能とは言えないだろう。
    前3000年頃、南方から侵攻したバルバウダ人は、途中で海洋王国ヴァレリアを滅ぼすと、更に小アジアを統一する。そこで千年近い統治を行うが、何らかの理由によって引き起こされた核戦争によって滅亡する。当然、彼らの植民地だけが消滅することはありえないだろうから、高熱によって作られたテクタイトのガラス層が広がる、小アジアの南の地域、アラビア半島やサハラ砂漠などがバルバウダ大陸だとも考えられる。
    その場合、ヴァレリアを滅ぼしたのは、バルバウダ人ということになるが、その名は伝わらず、その後、小アジアに侵入して原ハッティ人とよばれるため、ヒッタイト人として記されたとも考えられる。

- 現状での結論 -
現実世界とゼテギネア世界を繋ぐ情報が記された唯二つの資料、開発時に出されたチラシと『タクティクスオウガ』EDの設定が出た『タクティクスオウガ』開発・宣伝当時、そこまで考えてなかった。





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